不同意性交は処罰化できるのか

不同意性交を処罰化するという案も出ているようです。

これについては、論文を読んだこともないし、よく検討したことはないのですが、率直な感想をいうと難しいのではないかと思っています。

傷害とか窃盗は、通常は被害者は不同意という話になるので、「被害者の承諾があると思った」なんてことは通常はありません。そのため、故意の立証は比較的容易な反面、被告側の主張が認められる可能性は低い。

けれども、性交それ自体は、善とも悪ともいえず、通常は不同意だろうなどという推定はできません。なので、「暴行脅迫」などの意思への強い働きかけをしたものに限定して処罰しています。

不同意性交が罪だとすると、不同意であるかどうか書面をとるわけにはいかないので(要書面という案もあるのかもしれませんが)、結局は客観的な状況から考えるしかない。状況判断をミスすると、不同意性交で処罰される危険があります。慎重に行動する人は、そもそも性交しないという選択をせざるを得ない。

もうそれなら、例えば婚前交渉禁止としないと整合しないでしょうね。相手が婚前であれば、推定的不同意なので、傷害や窃盗と似たように考えることができるのかもしれません。