岡崎支部無罪判決を読んで

岡崎支部の無罪判決を読みました。

 

判決で認定された事実によれば、父親はどうしようもない最悪の親でした。しかし、抗拒不能を認定しなかった裁判所は、非常に冷静に、罪刑法定主義と疑わしきは被告人の利益に、を貫いたと思います。判決を読んで、無罪判決は不当だと断定できる法律家は少ないのではないでしょうか。

 

弁護人には頭が下がります。

被告人の父親は、判決では信用性を否定されていますが、被害者にも同意があったと主張するなど、なかなかな人です。僕なら、こんな酷い人間は、、と思い弁護活動はおろそかになったかもしれません。

こういう弁護活動に接すると、自分が果たして刑事弁護事件をやっていていいのだろうかと悩みます。

 

罪刑法定主義や疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の原則は、法律を知らない一般の人の感覚と乖離することがあります。しかし、刑事裁判の諸原則は、人類の叡智であり、守り抜かねばならない。それは、法律家である自分自身にも、絶えず言い聞かせていかなければならないと改めて思いました。